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「障害のある人は、どんな理由で仕事を辞めているの?」「退職の理由を、会社にどう伝えればいい?」「次の面接で前の職場を辞めた理由を聞かれたら、どう答えよう」。この記事は、そんな疑問に答えるためのものです。
厚生労働省の調査をもとに、障害のある人の退職理由で多いものを紹介し、会社に伝えるときと、面接で聞かれたときの例文をまとめます。
この記事の結論
- 厚生労働省の調査で多かった退職理由は、「職場の雰囲気・人間関係」と「賃金・労働条件への不満」。精神障害のある人では、体力・意欲が続かない、仕事内容が合わない、も多い
- 会社に伝える退職理由は、くわしく話す義務はない。ただ、短く、前向きな言い方にすると話がこじれにくい
- 面接では、事実を短く→学んだこと→次の職場で確かめたことの順に話すと伝わりやすい
- 同じ理由で辞めないために、退職理由をそのまま「次の職場で確かめること」に変える
障害のある人の退職理由で多いのは
厚生労働省の「障害者雇用実態調査」(平成25年度)では、働いている障害のある人に、前の職場を辞めた理由を聞いています。どちらも「個人的な理由」が最も多く、その中身は次の通りでした。

| 身体障害のある人 | 精神障害のある人 | |
|---|---|---|
| 個人的な理由で辞めた | 61.3% | 56.5% |
| 主な理由 1位 | 賃金、労働条件に不満(32.0%) | 職場の雰囲気・人間関係(33.8%) |
| 主な理由 2位 | 職場の雰囲気・人間関係(29.4%) | 賃金、労働条件に不満(29.7%) |
| そのほか多いもの | ― | 疲れやすく体力、意欲が続かなかった/仕事内容が合わない(いずれも28.4%) |
| 会社の都合で辞めた | 19.5% | 16.0% |
出典:厚生労働省「平成25年度障害者雇用実態調査結果」(転職経験者が、直前の職場を辞めた理由)。令和5年度の調査報告書では同じ項目を確認できなかったため、少し古い調査ですが、本人に理由を聞いた公的なデータとして紹介しています。
人間関係とお金の問題が上位に来るのは、障害の有無にかかわらず多くの人と同じです。一方、精神障害のある人では「体力や意欲が続かない」「仕事内容が合わない」も上位に入っていて、働く時間や仕事の中身が合っていないことも大きな理由になっているとわかります。
今の給料と勤続年数
新しい調査(令和5年度)では、障害の種類ごとの平均の賃金と勤続年数が公表されています。
| 障害の種類 | 1か月の平均賃金 | 週30時間以上の人 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|
| 身体障害 | 23万5千円 | 26万8千円 | 12年2か月 |
| 知的障害 | 13万7千円 | 15万7千円 | 9年1か月 |
| 精神障害 | 14万9千円 | 19万3千円 | 5年3か月 |
| 発達障害 | 13万円 | 15万5千円 | 5年1か月 |
出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」。平均賃金は超過勤務手当を含む。
平均の賃金は、働く時間で大きく変わります。給料が理由で辞めたいときは、時給や月給だけでなく、勤務時間を増やせるか、昇給や正社員登用があるかも比べてみましょう。
退職理由ごとの考え方
辞めたい理由がはっきりしていれば、次の職場選びに生かせます。理由ごとに、確かめたいことを整理しました。
| 退職理由 | 辞める前に試せること | 次の職場で確かめること |
|---|---|---|
| 人間関係 | 上司以外の相談先(人事、相談員、外の支援機関)に話す | 同じ部署の雰囲気、相談できる人がいるか |
| 給料・労働条件 | 昇給や登用の条件を就業規則で確かめる | 昇給の実績、登用の条件と実績 |
| 体力・意欲が続かない | 主治医と相談し、勤務時間の調整を相談する | 短時間から始められるか、通院の休みの扱い |
| 仕事内容が合わない | できる仕事と量の希望を、具体的に伝える | 入社後の担当業務の例、仕事の決め方 |
| 配慮がない | 配慮の内容を文字にして、人事に確認する | 配慮をどう決めて、上司が替わっても引き継がれるか |
辞めるかどうか迷っている段階なら、障害者雇用を辞めたいときの対処法で、相談先や辞め方の手順をまとめています。
ウネット
会社に退職を伝えるときの例文
退職の理由をくわしく話す義務はありません。「一身上の都合」で問題ありません。ただ、上司に口頭で伝えるときは、理由を聞かれることが多いものです。短く、相手を責めない言い方にすると、話がこじれにくくなります。
体調が理由のとき
「主治医とも相談し、体調を優先して働き方を見直すことにしました。〇月〇日で退職させていただきたいと考えています。」
人間関係が理由のとき
「自分に合った環境で長く働けるよう、職場を変えることにしました。これまでお世話になり、ありがとうございました。」
給料・仕事内容が理由のとき
「これまでの経験を生かして、別の仕事に挑戦したいと考えるようになりました。引き継ぎはしっかり行います。」
内容は例です。自分の状況に合わせて言い換えてください。退職届には「一身上の都合により」と書くのが一般的です。会社の都合や、配慮がされなかったことが原因のときは、離職票の離職理由に関わることがあるので、ハローワークに相談してから書類を確かめましょう。
引き止められたら
障害者雇用では、会社が雇用率を気にして引き止めることもあります。引き止められても、辞める権利はあります。次のように伝えましょう。
- 決めたことをはっきり伝える:「ありがたいお話ですが、気持ちは変わりません」
- 条件の話に乗るかを考えておく:配慮や担当業務を変えると言われたら、それで続けられるのかを一度考えてから答える。その場で決めなくてよい
- 退職日を決めて書面で出す:口頭だけだと、話が先に進まないことがあります
話が進まないときは、ハローワークや労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。
面接で「前の職場を辞めた理由」を聞かれたら
障害者雇用の面接では、前の職場を辞めた理由と、働くうえで必要な配慮をよく聞かれます。答えるときは、次の順番にすると伝わりやすくなります。
- 事実を短く:何があったかを1〜2文で
- 学んだこと:その経験から、自分について何がわかったか
- 次の職場で確かめたこと:同じことにならないように、応募先で何を見たか
前の職場の悪口にならないこと、うそをつかないことが大切です。
回答例:体調が理由のとき
「前職では、業務量が急に増えた時期に体調を崩し、退職しました。その経験から、疲れが出る前に相談することが大切だとわかりました。今は通院を続けて体調が安定しており、御社では業務量について定期的に相談できる体制があると伺い、応募しました。」
回答例:配慮が得られなかったとき
「前職では、口頭の指示が多く、抜けが出てしまうことが続きました。文字で指示をもらえると正確に進められるとわかったので、御社にもその点をお伝えしたうえで働きたいと考えています。」
回答例:給料・仕事内容が理由のとき
「前職ではデータ入力を3年担当しました。正確さは評価していただきましたが、資料作成など幅を広げたいと考え、担当業務を広げられる御社に応募しました。」
どれも型を示すための例です。事実の部分は、自分の経験に置きかえてください。必要な配慮の伝え方は、精神障害の開示の方法の記事も参考になります。
退職の前に確かめておきたいこと
理由を伝える前に、次のことを確かめておくと、あとで困りにくくなります。
| 確かめること | どこで確かめるか |
|---|---|
| 退職を申し出る時期 | 就業規則(「1か月前まで」など) |
| 有給休暇の残り日数 | 給与明細や勤怠のシステム、人事 |
| 退職後の健康保険と年金 | 市区町村の窓口、会社の健康保険の案内 |
| 失業保険を受け取れるか | ハローワーク(障害者手帳のある人は日数が長くなる場合がある) |
| 受け取る書類 | 離職票、源泉徴収票など。届く時期を人事に聞いておく |
失業保険の日数や、退職の手順は障害者雇用を辞めたいときの対処法でくわしく紹介しています。
同じ理由で辞めないために
退職理由は、次の職場選びのいちばんの手がかりです。応募する前に、次の3つをメモにしておきましょう。
- 前の職場で困ったこと:できるだけ具体的に(例:「急ぎの指示が口頭で何度も来た」)
- あれば続けられた配慮:例:「指示はチャットで」「午後に10分の休憩」
- ゆずれない条件:勤務時間、通勤時間、給料の下限など
このメモをエージェントの担当者に見せると、合う求人を探してもらいやすくなります。面接で聞きにくいことを、担当者から企業に確かめてもらえる場合もあります。
ちなみに、最もおすすめのエージェントは『障害者雇用バンク(旧エラビバ)』です。企業の求人とハローワークの求人をまとめて探せて、Web面談で自宅から相談できます。さらに、『dodaチャレンジ』などを同時に利用することで、紹介される求人の幅が広がり、よい就労に近づく可能性を上げることができます。
よくある質問
Q. 障害が理由で退職するのは、不利になりますか?
A. 理由そのものより、今の体調と、次にどう働きたいかが伝わるかが大切です。体調が安定していることと、必要な配慮を具体的に話せるようにしておきましょう。
Q. 転職エージェントには、本当の退職理由を話したほうがいいですか?
A. 話せる範囲で、正直に伝えたほうがよいでしょう。担当者が理由を知っていれば、同じことが起きにくい職場を探しやすくなります。企業への伝え方も一緒に考えてもらえます。
Q. 短い期間で辞めた職場は、履歴書に書くべきですか?
A. 雇用されていた職歴は、期間が短くても書くのが基本です。書かずにいると、あとで確認されたときに信頼を失うことがあります。理由は面接で短く説明しましょう。
Q. 退職代行を使ってもいいですか?
A. 体調などで自分から伝えるのが難しいときの方法の一つです。ただ、費用がかかり、会社とのやり取りが残ることもあります。家族や支援者に間に入ってもらう方法も考えてみましょう。
まとめ
厚生労働省の調査では、障害のある人の退職理由で多いのは「職場の雰囲気・人間関係」と「賃金・労働条件への不満」でした。精神障害のある人では、体力や意欲が続かない、仕事内容が合わない、も多く挙がっています。
会社に伝える理由は短く、責めない言い方で。面接では、事実→学んだこと→次の職場で確かめたこと、の順で話しましょう。そして退職理由を、次の職場で確かめることに変えれば、同じことで辞めずに済む可能性が高くなります。
次の職場探しは、アスナロウネットが紹介している障害者雇用バンクを中心に、dodaチャレンジなどと同時に利用して、選べる求人を広げておきましょう。
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